『神装都市の無刃聖機士』感想
『神装都市の無刃聖機士』を読んだので、感想をまとめておきます。
作品情報
表題:神装都市の無刃聖機士
著者:小山タケル
レーベル:ファンタジア文庫
内容紹介
「信仰値」――世界への貢献度が数値化される都市を一組の兄妹が訪れる。【信仰値が常にゼロ】の兄・ヒビキ。【存在自体が罪】の妹・アニス。ヒビキは妹を世界に認めさせるため、聖剣使いの頂点・聖機士を目指す!
(公式サイトより抜粋)
世界観
神装都市と呼ばれる、神聖存在《女神》に守られている都市が舞台になっています。
《魔力光》……世界中にあふれる悪い光。人間が浴びると、体内に宿してしまうことがある。
《神機聖剣》……体内の《魔力光》を攻撃へ変換できる武器。
《信仰値》……「世界にとってどれだけ価値があるか」を数値化した値。高いと資格の取得がしやすくなったり、《神機聖剣》のグレードアップができる。
《聖機士》……女神の代わりに《魔力光》ダスクを浄化する仕事をする人のこと。
登場人物
ヒビキ=デルヴェイド
主人公。信仰値が0。
タイトルに「無刃聖機士」とある通り、ヒビキは鞘から剣を抜きません。信仰値がなく、剣が使えないのです。
アニス=デルヴェイド
主人公の妹。貧乳。ブラコン、ハッキングが得意。
女神のセキュリティをかいくぐることができる。つよい
ミルドレッド=エルト=ミスクレシア
センターヒロイン。金髪ツインテールの表紙の子。おっぱいが大きい。
聖機士に対して何やら理想を抱えている。
イオ=トルス
ミルドの頼れる親友。クールな常識人。
この子のおかげで、まともな生徒の視点がわかる。
ニミル
都市の代表。つかみどころのない実力者。
ヒビキとアニスを神装都市に呼んだ張本人。
アイギール
都市を守る女神。ロリ。
感想
個人的な好き度 4 / 5 点
人に薦めたい度 2 / 5 点
楽しく読ませてもらいました。
これぞライトノベルといった感じの、王道学園ファンタジーです。
お話からバトルまでへのテンポが良く、シーンの描き方も魅力的でした。テーマの設定も面白かったです。
ただ、既に多くの作品に触れている身からすれば、見知った展開が非常に多く、わざわざ人に読ませたいほどの目新しさはないように思いました。
ひたすらに王道展開
この作品。話の構成が綺麗でまとまりが良く、「なんか知ってる」っていう展開が多かったんですよね。
・主人公が、何らかの理由で社会から認められていない
・だけど、最強
・ブラコンで独占欲の強い妹、気の強いセンターヒロイン
このあたりは10年代前半にアニメ化されたようなファンタジー作品にも多く共通しています。
これは作者さんも理解しているようで、あとがきを読んだ感じだと「ド直球な学園バトル物」を目指して書いているようです。
こういった、女の子たちに囲まれながら、世界にかかわる問題に立ち会っていく作品は、私も大好物です。ありがとうございます。
一方で、この作品ならではの個性というものはあまり感じませんでした。毒がないといえば響きは良いですが、特別記憶に残る作品ではなかったとは思います。
社会に認められない主人公たち
さて、物語開始時点で、主人公ヒビキと彼の妹アニスは、信仰値が0です。そもそも都市の住人ですらありませんでした。
外には危険な《魔力光》が充満している。そんな危険な世界で、ずっと外で暮らしていたようです。
都市に入れてもらえなかったヒビキたちの目標は「社会に認められること」でした。
ただし、ヒビキ自身の実力を他人に認めさせていくような利己的な目標ではなく、「妹アニスをこの社会に認めさせる」というような、間に妹を挟む形での目標でした。
おかげで、ヒビキが自分のために努力するような奴ではなく、「妹のために努力するお兄ちゃん」像として描かれていたところが、この話のうまいところだと思います。
おかげで、最初からめちゃ強い主人公の割には、気持ちよく読むことができました。
感想まとめ
転生がテンプレートになる以前のファンタジーが好きであれば、特に毒もなく楽しめると思います。
また、なろう系のような転生もので育った方には、むしろ新しいのではないでしょうか。
特に、おっぱい派の方には、おすすめ度が上がります。